老後の自分年金はシンプルな方がいい

執筆者:小山英斗

FIREというキーワードが話題になりましたね。「Financial Independence, Retire Early」頭文字を取った言葉で、「経済的自立と早期リタイア」を意味しています。

従来の早期リタイアというと、蓄えた十分な資産を切り崩しながらその後の生活をカバーしていくというイメージでした。

FIREも早期リタイアを目指すものですが、従来の早期リタイアとの違いは「資産運用」をし続けながら運用益で生活をしていく、というイメージが強いものと思います。

FIREは米国発の考え方ですが、FIREを実現するために必要な資産は年間支出の25倍とされています。

年間に300万円の生活費が必要な人であれば、

300万円 × 25 = 7500万円

があれば実現可能となります。

FIREすることが可能なのは、運用資産を毎年4%で運用することで生活費を捻出できると考えられているからです。

7500万円 × 4% = 300万円(年間の生活費)

4%の運用利回りが実現可能かどうかですが、米国S&P500の1991年から2021年までの30年間の年利回りは9%を超える実績があります。これに3%程度の物価上昇率を加味しても、その差は6%あり、4%の運用利回りは決して実現不可能な数字ではないと考えられています。

老後も資産運用をしながら、得られた運用益の範囲内での生活をしていけば、資産を減らすことなく暮らしていくことができます。

さて、ここまでの考え方にはおおむね異論はありませんが、実際に老後になったときにどう資産運用してくかは考える必要があります。

私が老後の資産運用において考えた方が良いポイントの1つとして、シンプルで手間のかからない運用をする、ということです。

老後になって懸念されることに1つに、認知機能の衰えがあると思います。「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の推計では、2020年の65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%、約602万人となっており、6人に1人程度が認知症有病者のようです。

FIREでの4%ルールにおいても、売買の手続きを認知機能が低下した後でも問題なく実行できるでしょうか?

リスクをある程度軽減するためには、例えば個別株投資より、投資信託やETFへの投資の方がより広い分散投資よってリスクが抑えられます。そのうえで、さらに運用益を自動的に得るために、高配当株を対象にしているような投資信託やETFを投資対象とした縛り込み運用することで、運用にかかる手間をさらに減らすことができます。

老後の認知機能低下による資産運用上の軽減するためには、シンプルで手間のかからない投資に資産をシフトしていくことも大事かと思います。


未来が見えるね研究所 代表 小山英斗





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