元本保証といっても価値まで保証されているわけではない
執筆者:小山英斗
ここのところの急激な為替の変動には目を見張るものがあります。先週はドル円が一時131円台と、120円台後半から一気に130円台とドル高円安に振れました。
この円安は、これまでコロナ禍やウクライナ・ロシア戦争といったことも影響としてあげられますが、日米での金融政策の違いがここにきて鮮明になっていることが一番の大きな要因となっているようです。
金融引き締めを加速させようとしている米国では金利が上昇傾向にあり、一方では、金利上昇を抑え込もうとしている日本。その金利差が開くほど、お金は金利の高い方に流れていく傾向にあることがドル高円安を加速させています。
世間は久しぶりに規制のないゴールデンウイークにということあり、海外での旅行を楽しむ人も多いようですが、円安はせっかくの海外旅行も円ベースでみた旅行費用の負担を大きくします。さらには各国で物価高も生じていることが、ことさら負担感を増しているようです。以下はその象徴的なニュースです。
3年ぶり“規制なしGW”でハワイに行ったら激変してた…物価高&円安で「カップ麺600円」
出典:Yahooニュース
「元本保証」という言葉があります。例えば、銀行の普通預金や定期預金などは、その預け入れたお金の元本が保証された典型的な金融商品と言えます。
しかし、その「価値」まで保証されているわけではありません。
例えば、あるとき普通預金に預け入れた100円は、通帳上は残高は今でも100円のままとなっているかと思います。しかし、預け入れた当時に、100円で売られていたハンバーガーが値上がりして現在130円していたら、その普通預金にある100円では、そのハンバーガーは買うことはできません。(実際、一番安く買えていたマクドナルドの100円のハンバーガーは現在130円と値上げされています)
つまり、通帳上の「100円」という数字は変わらなくても、その100円にはハンバーガーを買える価値はもうない、ということになります。
資産運用では、お金を増やすことだけが目的ではなく、自分の資産価値を減らさないよう、どのようなものに資産を置いておく(変えておく)のかが大事になります。日本では長らくデフレ状態でインフレが意識されてきませんでしたが、これからはインフレに負けない資産運用を考えていくことが重要となりそうです。
未来が見えるね研究所 代表 小山英斗
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